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セルフィッシュスタンド

催眠音声制作を主とした創作活動をするブログです
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アスモデウスのキス(1)

現在、声優様に音声化をお願いしている所なのですが、サイトも初めたところですので、ちょっと文章でも投下してみようと思います。

まだ、リンクなどはどこにも貼っていないので、誰も見てないのは分かっているんですが……。

いや、むしろ誰も見てないからこそのスリル……//////

これって新しい性癖になりませんか?











 荒涼とした大地。
 荒れ果てたその土地には草木はなく生命はない。ただ、起伏の激しい岩陰に隠れて、魔王の配下である無数の魔物達が蠢いているのみだ。
 その岩砂漠の中央にそびえ立つ魔王城を目指した如何ほどの勇者達が、この土地にその骨を埋める事になったのだろうか。
 彼はそんな思いにふけながら、その土地を一人歩いていた。
 数年前、魔王討伐の旅に単身向かった彼は数十年に一人と謳われる程優秀な魔法剣の使い手であり、国王にも、いや国中の誰からも一目の信頼を置かれていた。
 国中の希望をその大きな背中に背負い込み、彼はこの荒れ果てた大地を一歩一歩と踏みしめる。
 しかし、どうした事か今日は魔物が異様に少ない。昨日、この大地を歩いた時は、半刻も経たない内に4匹の魔物と遭遇したのだ。
 もしかすると、魔王城が近いのかもしれない。彼は重い鎧を苦にもせず歩いていく。

 一刻ほど歩くと、彼の体の数倍は有る巨大な岩が一つ現れた。
 そして、その岩陰から微かに覗く、この大地で初めて見る、整備された岩……いや、あれはレンガか。なんにせよ何者かの手が加えられた建造物である事は確かだ。
「あれが、魔王城か……」
 彼は無意識のうちにポツリと漏らす。
 これからの決戦に備え、回復魔法の呪文を唱える。腰に提げた大剣を両手に構え、そろりと城の様子を窺う。
 城の入り口と思われるのは巨大な門が一つのみ。そして、その両隣には門番が2体。以前倒した巨大クラーケン程の大きさはある巨人だ。その手には巨人の巨躯程の巨大な槍。この槍の一撃を食らおうものなら、流石に彼でもひとたまりもないだろう。
 しかし、幸運な事に岩陰に隠れたこちらに巨人達はまだ気づいていない。
 彼はスッと一息吸い込むと、呪文の詠唱を始める。あの巨人にかける程の大掛かりな呪文だ。こんな場面でなければ使えはしない。
 詠唱が終わると、彼は大剣を手に門へと走る。
 巨人達はようやく彼の存在に気づき、槍を構えようとする。が、しかし、地面に突き立ていた槍の、柄の部分がズブズブと地面に飲み込まれていくのである。いや、それどころか巨人達の両脚までもが地面へと飲み込まれ、咄嗟の出来事に混乱してその動きまでを鈍らせている。
 片方の巨人は槍を使う事を諦め、体制を立て直して拳を振り下ろす。
 しかし、冷静さを欠いた攻撃など、幾千もの戦をくぐり抜けた彼には通用しない。ひらりとその拳をくぐり抜け、再び呪文を詠唱する。両手に持った大剣にボッと燃え盛る灼熱の火が灯る。
「喰らえ」
 その一言の後、彼は大きく飛び上がり、巨人の頭上、真上から灼熱の大剣を振り下ろす。
 ザッと重い音が聞こえたと思うと、いつの間にか巨人は、切り口に炎を残して真っ二つになっていた。そしてその刹那、一人目の巨人に攻撃しながら同時に唱えていた呪文の詠唱が終わる。
 そして一閃。巨大な轟音と共に、天空から一筋の稲妻が巨人に向かって降り注ぐ。
 巨人は飲み込まれつつある膝を軸に、白目を剥いて後ろに倒れる。
 そして、ズブズブと音もなく、まるで何事もなかったかの様に、巨人達は地面へと飲み込まれていった……。
 
 
 
 それから彼は大剣を鞘に収め、先程まで巨人に守られていた大きな扉をゆっくりと開いた。
 中へ入ると大きな扉はひとりでに閉まっていく。逃がさないという魔王の意思なのだろうか……。
 入り口の大ホールを抜け、道なりに廊下を歩いていくと、一つ目の扉が目に入る。
 とうとう魔王の城へ潜入した、これからが正念場だ。そう思った矢先、一つ目の扉を開いて現れたのは、小柄な女だった。
 その見た目は女と言うよりも小娘という方が近く、人間だとすれば丁度年頃に見えた。しかし、ここは魔王城。人間の女がいる筈がない。
「女。お前は淫魔だな?」
 彼は警戒心を剥き出しにした声でそう尋ねる。
 女はそんな彼の様子をみて、さも楽しそうに質問へ応えた。
「アハハ。流石ここまで来た勇者だ、気迫が違うねぇ。でも、私は淫魔じゃないよ」
「ならば人間だとでも言うのか?」
 男は大剣を鞘から抜いて再び尋ねる」
「ううん、違うよ。私は悪魔。魔王様に作られた、人間の七つの大罪を司る悪魔の内の一人。色欲のアスモデウス」
 そう言って、アスモデウスと名乗る女(いや、彼女の言う通り悪魔なのだろう)はコロコロと、さも楽しそうに笑うのである。
「先程から何を楽しそうにしているかは知らないが、悪魔なら容赦はしない。ここを通らせてもらう」
 彼は刃先をアスモデウスに向け、全身から殺気を放ち、彼女を威嚇する。
 そう宣言するだけで、すぐにそうしないのは、例え悪魔であっても人の姿、それもか弱い年頃の娘の姿をしている者を斬りたくはないのだ。
 それを知ってか知らずか、威嚇されてもなお、彼女はコロコロと子供のように笑うだけなのである。
「ふふっ。勇者様って優しいんだね。長旅で疲れているのに、敵である私の事まで気遣ってくれるなんて」
 彼女はニコリと笑い、ゆっくりと彼の方へ歩み寄る。その笑顔はとても美しく、普通の者なら一目で魅了されたかもしれない。
 しかし、彼は近づいてくる彼女に大剣をその鼻先に振り下ろす。
「色欲のアスモデウスと言ったな。お前の狙いは誘惑だな?」
 大剣を持つ手に力を込め、彼は彼女を睨みつける。
 ここは魔王城。一瞬の油断が生死を分ける。
「ご名答。そう、私の役目は勇者様を誘惑する事。バレちゃったか、残念」
 言葉とは裏腹に、表情一つ変えず悪魔は言う。
「何を考えているかは知らないが、淫魔避けの札に誘惑封じの魔法を幾つもかけてある。そう簡単にお前の色欲には”屈服”しない」
 彼は一度淫魔に襲われ、かなりの苦戦を強いられた事があった。淫魔の魔法は人心操作の魔法。いくら鍛錬を積んでも、その鍛錬を無にする事もできる。だからこそ、彼はそこへの対策を怠らなかったのだ。
 そう言って彼は大剣を振りかぶり、コロコロ笑う少女へ打ち付ける。と言っても殺す気はなく、気絶だけさせる様に細心の注意を払って手加減をしたのだが。
 しかし、これが彼に最大の隙を作る事になる。アスモデウスは振りかぶられた大剣を見て後ろに避けようと一歩引く。彼もそれを見越し、またそれを狙って振りかぶっており、一歩踏み込んで大剣を振り下ろした。
 しかし、アスモデウスは今度は逆に彼の懐へ踏み込んだのだ。彼女は彼の予想を上回ったのだった。
 普段の彼ならこんなミスをしない。しかし、相手の狙いが分かり、その対策をしているという油断が判断を鈍らせた。標的を失った大剣は地面へと叩き付けられる。
 彼の懐へ踏み込んだ彼女は、彼の背中へ腕を回す。
「ありがとう、優しい勇者様。おかげで色欲に”隷属”させる事ができるわ」
 悪魔はその名前に相応しい、ひん曲がった笑顔を見せ、そして彼の唇に、その唇を重ね合わせた。
 その瞬間彼の体に恐ろしい程の快感が走った。
 体がビクンと跳ね、全身から力が抜ける。頭に電流が走る様な感覚と共に視界が一瞬ホワイトアウトする。手に持った大剣を床へ落とし、ガタガタと体を震わせて後ろへと尻餅をつく。体が上手く動かない。まるで脳が痺れたみたいで、機能を果たしていないのが自分でも分かる。
「キャハハハハハハハハハッアッハハハハハハハハハ!!!!!!」
 目の前の悪魔が引きつった顔で、大声をあげて下品に笑う。
 その姿には先程の少女の面影はない。先程までは疑う余地があった悪魔という言葉が、この上なく彼女に相応しかった。
「優しい、優しい勇者様ァァ! 油断しちゃダメじゃなぁぁぁいぃ! 淫魔避けの札ァ? 誘惑封じの魔法ぉぅぅぅ!? 淫魔を使役する上級悪魔の私にそんな物が通用すると思ううぅぅぅ!!!???」
 悪魔は下卑た笑いをしながら彼を一蹴して上向きに寝転がらせる。
 彼は落とした大剣を拾おうと必死になって手を動かす。この剣さえあれば、相手を威嚇するぐらいは……。
 大剣を拾おうと手を伸ばす。しかし、あと僅かの所で大剣は悪魔に蹴り飛ばされ、部屋の隅へと転がっていった。
 悪魔は彼の懐から一枚の札を抜き取り、そして札は悪魔の手のひらでボッと燃える。
「あっ……あっ……」
 彼は手を伸ばしなんとか札を取り戻そうとするが、無惨にも札は悪魔の手のひらで燃え尽きてしまう。手を伸ばす彼の姿には、もう先程までの威圧感は微塵も感じられなかった。
「アハハハハハッハハッハハハッハハッハッハッハハハ!!!!!! 何ぃ、その格好!? 情けなぁいッ!!! キャハハッ。良い事教えてあげるねっ。私の体からは常に色欲の魔法、つまり私の近くに居る者全てを発情させる魔法がダダ漏れてるのっ。淫魔避けの札や誘惑封じの魔法が効かなかったのは、その魔法を封じる方に力を全部使っちゃってたってワケぇ。じゃあ、ここで問題よ。今からその誘惑封じの魔法を解いたら、勇者様はいったい…………どうなるんだろうね?」
 悪魔が親指と中指の腹を合わせ、その手をゆっくりと上げる。彼は動かない体を懸命にくねらせ、その手を止めようとするが、どうしてもその手に届かない。魔法を唱えようにも、呪文を唱えるどころか、魔力を上手く練る事さえできない。彼にできるのは必死になって声にならない声を上げるのみ。
「それじゃあ、勇者様。…………ゲームオーバー」
 悪魔が指を鳴らす。
 彼の体にかけられていた誘惑封じの魔法がいとも容易く解ける。
 その瞬間、体の奥底からとてつもない衝動が襲ってくる。体中を駆け回る、電気が走る様な衝動。腕を振るわせ、脚を響かせ、脳を蕩けさせる様な快感。頭が真っ白になり、体中を駆け巡る電気は、一点。男の最も重要な器官へと収縮していく。血流がとまり、その器官が肥大していくのが分かる。
 彼は以前、淫魔に襲われた事がある。その時は誘惑の魔法に当てられ、堪え難い衝動に操られそうになったが、僅かに残る理性で奴を切り裂いた。
 しかし、今回のはその比ではなかった。理性など全く残らないのである。体中の全ての細胞が性を求める衝動。故郷や国の事、果たすべき使命の事など入り込む余地もない。
 全ての脳細胞が体中に全細胞に命令を下す。性を求めろ、女を犯せと。そして、その標的は目の前の悪魔に向かう。
 悪魔はそんな彼の悶え苦しむ様子を見下し、嘲笑する。それは動物的な醜い本能に翻弄される彼を、格下の生物と認識した様な笑いだった。
 そして、彼女はもう一度彼にキスをする。先程と違う優しいキス。
 舌を入れ、彼に唾液を注ぎ込む。彼も一度は拒んだが、もう一度唾液を注ぐと今度はすんなりと受け入れた。彼女の舌はまるで生き物の様に蠢き、彼の舌を、歯を、頬の内側を縦横無尽に舐め回す。
 彼女に口を犯される感覚。彼女が体に入り込んでくる感覚。口中が、体中が幸福感で埋め尽くされる。
 そして、彼の中の”彼女を犯す”という衝動が消え去っていき、代わりに別の衝動が生まれてくる。
 それは”愛しい”という感覚……。
 ……いや、それは少し違う。彼の中の攻撃的な感情が消え去り、行き場をなくした性欲がベクトルを変え、性欲を満たすために彼女へ尽くす事を選んだのだ。
 そう、アスモデウスのキスは隷属のキス。膨大に膨れ上がった彼の性欲は全て、彼女に”与えられる”性を求める様になる。
 ……彼女の唇がそっと離れ、大人しくなった彼を見る。
 その表情は下卑た笑いを浮かべたままだったが、どこか新しい玩具を得た子供の様な無邪気さが感じられた。
 それから彼女は一言も発さないで、扉の方へ歩いて行く……。
「ま、待ってください!!!」
 それは無意識の内に出た声だった。彼は地面に這いつくばってすがる様な目でアスモデウスを見つめていた。彼の頭にはもう国や使命の事など全く頭になかった。
 今、彼にとっての恐怖は彼女に見捨てられる事。膨れ上がったこの自分ではどうしようもない本能的な欲を満たしてくれるのは……満たす事ができるのはこの世界において彼女しかいない。
 もはや彼に取って最大の行動原理は、彼女の事だけ。彼女に愛してもらう為なら人を殺す。彼女に認めてもらう為なら腕を差し出す。彼女に撫でてもらう為なら精巣を差し出す。彼女に嬲られる為なら陰茎を差し出す。彼女の脚を舐める為なら心臓を差し出す……。
 だからこそ、彼女に見捨てられる事がただただ恐怖だった。無意識の内に出た声は本能的な物。彼女が居なければ生きられない、生存本能が発した物。
 これがアスモデウスの洗脳。相手を魅了し虜にし、彼女に与えられる性を最高のご褒美とする、従順な性の奴隷へ教育する。調教する。
 その効果は一国の期待を背負う、最強の勇者をも隷属させる事を今証明した。
 男の声に反応して彼女は立ち止まり、彼の方へ振り向いた。
「着いて来なさい。飽きるまで遊んであげる」
 一言だけ放つと彼女は扉の外へ出て行った。
 彼の頬に一筋の涙が流れ、急いでその後を追っていった。
  1. 2012/06/30(土) 12:07:57|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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  1. 2012/07/17(火) 23:31:41 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

初めまして。
誤字のご指摘ありがとうございます。

我ながら誤字ばかりで情けない限りです……。
投稿前にもっとしっかり確認しなければいけませんね。
  1. 2012/07/19(木) 00:16:23 |
  2. URL |
  3. コズミックうどん #-
  4. [ 編集 ]

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